劇場版 魔法少女リリカルなのはDetonation を見てください

今回はアニメの話です。

 

魔法少女リリカルなのは。劇場版1作目(2010年)よりちょっと前くらいに知って、それから追いかけてるコンテンツです。

いわゆるメディアミックス作品というやつで、アニメの他にもゲームが出たりマンガでオリジナルのストーリーをやったり、というやつです。

 

で、今回満を持して公開されたのが、劇場版4作目にあたる「Detonation」。3作目と合わせて前後編の後編となります。

1作目・2作目はそれぞれTV版1期2期のリメイクとなっていて、10年選手の作品にしては楽に予習を終えることができます。

1作目(1st)→2作目(2nd A's)→3作目(Reflection)→4作目(Detonation)という順序で見れば良い。 

 

魔法少女リリカルなのは」というタイトルからはキャピキャピだったり百合百合っぽいイメージを抱きがちなのですが、実際の中身は友情ものなんですよね。主要キャラの性別を逆にすればジャンプとかコロコロに載るやつ。

 

主人公の高町なのはが魔法という大いなる力と出会って、運命の歯車が回りだす。

最初はひよっ子だったなのはも、ライバルと出会い、衝突し、別れ、人間的に成長していきます。そしてなのはの魔法で幾人もが救われて、最後に挫けそうになったとき、いままで助けてくれた人たちの思いに助けられ、なのは自身も救われる。

そういうアニメなんです。

 

先に、劇場版の4作に絞って紹介をしたいと思います。

ちょっとだけネタバレがあります。

 

 

物語の舞台は海鳴(うみなり)市。都会すぎず田舎すぎず、賑やかでありながらそれなりに自然もあるという、物語をどう転がすにもうってつけなベッドタウンです。

主人公の高町なのはちゃんはこの市にあるちょっといいとこの小学校に通っているわけですが、シリーズを追うごとに”今までなのはちゃんが助けたキャラが同じ制服を身にまとって登校する”という激エモ展開があり、中々見逃せません。

 

そう、この物語の主人公は高町(たかまち)なのはちゃんです。

どこにでもいる(すっとぼけ)小学3年生の女の子なのですが、類まれなる魔法の才能により、訓練もなしに念話を聞き取って助けの声の元に駆けつけるという離れ業を披露しつつ、マスコットキャラ&魔法の杖と出会うことになります。

その後は激ヤバオーパーツの魔法の杖レイジングハートを「おねがい!」の一声で手懐けたり、グッと念じたらやはり訓練なしに空を飛べたりする……と書き出したら今流行りのチート系主人公のようですが、まあろくに味方も居ないので強くないと困りますからね。こんなものです。

(劇場版だけ見てるとそうでもないように見えますが、なのは世界で空を飛ぶのはマジモンの特殊技能で、TV版3期では登場人物の大半が飛べません)

 

で、マスコットキャラことユーノ・スクライア君が地球に来た原因というのが「高密度の魔力結晶”ジュエルシード”を管理ミスで地球にぶちまけちゃった!しかも21個!」というはた迷惑な話で、でもなのはちゃんは困ってる人を放っておけないよってユーノ君を手伝うことを決めるわけです。

ちなみにジュエルシードは大抵のことなら叶えることができるそうで、(時空移動と蘇生だけはダメらしい)うっかり猫にパクられたときは猫の「おっきくなりたい!」て願いによって肩高10mの猫が現れたりしました。

まあ基本的には動物に取り込まれて怪物化するパターンが多い。

 

このジュエルシードはなのはだけが集めているわけではなく、もうひとりの魔法少女フェイト・テスタロッサ(&母のプレシア)も目をつけているその1人でした。

プレシアはフェイトに対して過酷なノルマを設けており、達成できないときにはムチでしばいたりする鬼母というやつです。これにはフェイトの生い立ちが深く関係しているのですが、そこは是非その目で見て確かめて欲しい。

 

ジュエルシードという同じ目的を持っていればなのはとフェイトの2人は自然と出会うわけで、数度の出会いを経てなのはの目的は「フェイトを助け出す」ことにシフトしていきます。なぜかって?フェイトが悲しい目をしていたから。理由はそれだけでいいんです。

 

で、なんやかんやあってフェイトを助け出し、名前を呼び合って、また会う約束をして涙のうちに閉幕する、と。1作目はここまで。なのはとフェイトの友情の物語でした。

 

 

2作目の「A's(えーす、と読みます)」。今度は八神はやてという新たなキーパーソンが登場します。

はやては当時の深夜アニメにしてはかなり攻めた「下半身不随」の車椅子の女の子です。加えて天涯孤独の身だったのですが、案の定魔法の素質があり魔法少女予備軍であります。

 

はやての身の元には幼い頃から常に1冊の魔導書がありました。それは闇の書と呼ばれるもので、昔から自前の転移機能で持ち主を転々としながら渡り歩く危険な魔導書でした。その魔導書からズルッと守護騎士とかいう魔導生命(しかも4人)が出てきちゃったことが2期のはじまり。

いままで守護騎士たちは戦闘マシーンとして主に従事していたのが、はやてとかいう人格者のもとで新たな家族として大層可愛がられるようになりました。

めでたしめでたし。

先にはやての下半身不随の話をしましたが、それは実は闇の書の侵食によるものだということがのちに判明し、更には放っておけば命まで落としてしまう状態であることが明らかになります。

これを食い止めるためには他の動物や人間、特に魔法使いの生命力を吸い取る必要があり、守護騎士たちは主はやてに内緒で略奪に奔ることになります。その過程で守護騎士たちはなのはやフェイトに出会い、今度は2人ではやてと守護騎士たちを救おう、と。

 

なんやかんやしてる内に、実は闇の書はプログラムのバグにより暴走状態にあることが分かり、闇の書自体を制御している部分を破壊すればオッケーという結論が出ます(ついでに本来の名前も「夜天の魔導書」であることが分かります)。出るのですが……実は闇の書には管制人格としてもうひとりの守護騎士が格納されており、その子も暴走に巻き込まれている状況でした。

 

なのはをはじめ大勢が手を尽くすのですが、闇の書の暴走を食い止めながら管制人格を救い出すことはいよいよ叶わず、はやては最後、消えゆく定めの管制人格に「リインフォース」という名前を贈る……という、出会いと別れの印象的な2作目。

 

 

で、3作目が前後編の前編にあたる「Refletion」。

正直Refletionは起承転結における「起」程度の起伏しか無く、物語が大きく動くわけではありません。

ですが、A'sから2年経って小学5年生になったなのは達や、今風にリメイクされたキャラデザインなど、古参のファン的には嬉しい要素も多い作品でした。

また、いままで語られなかった時系列である(小学3年生の2期の次は19歳の3期でした)ことや、キャラ設定がPSPのゲームから流用されたこともあり、完全新規ストーリーながらも既ファンは馴染みやすく、新規ファンにも映画2作だけで追いつく内容であることが、なのはシリーズの新たな取り組みとして話題になりました(主観)。

 

今回の舞台は、地球に加えてもうひとつ、「エルトリア」という荒廃寸前の星が登場します。

エルトリアで育った少女「キリエ・フローリアン」は、惑星再生のカギを求めて地球にやってくる。それを追って姉の「アミティア・フローリアン(愛称アミタ)」までやってきて、キリエがやらかしてはアミタが追う……というような内容です。

 

さて、その惑星再生のカギというのが、八神はやての持つ夜天の魔導書であり、これをキリエと共に地球にやってきた「イリス」という謎の女の子が奪い取ってしまいます。

キリエはイリスの独断を止めないといけない、アミタは妹を。

そしてなのは達は、新たに現れた「眼の前の困った人たちを助けなければ」と、それぞれが動き出します。

そしていつも通りなんやかんやあり、一度はイリスに押されるなのは達ですが、エルトリアの技術も得てパワーアップし、再びイリスの眼の前に現れ、「今度は必ず助けます!」と言い放つ……ところで前編の3作目は一旦幕を下ろします。

 

 

そして4作目、現在放映中の「Detonation」。

最早何を言ってもネタバレになってしまうのですが、間違いなく言えるのは「Reflectionで勿体ぶった”承転結”はきちんと達成されます」ということ。

また印象的だったのが、いままでシリーズを通して語られることのなかった「高町なのはの想い」が初めて顕になる作品でもあります。

いままでのシリーズでも小学生にしてはひどく大人びていたなのはでしたが、今回のエルトリアの件ではじめて心の弱さが露呈し少女性が語られたという、古来のファンにとってかなり衝撃的な内容でした。

もちろん新規の方にとっても、4作目ではじめて語られることなので重みは十分に感じられると思います。

 

 

前置きが長くなりました。そう、とにかく4作目のDetonationを見てほしいんです。

紹介のどこかひとつでも引っかかったところがあれば是非とも全部見てください。後悔させません。

 

1作目。なのはとフェイトが出会い、敵対しながらも友情を育みながら、最後には手を取り合い、名前を呼んで友達になる。

2作目はフェイトが味方に付くようになり、なのはと協力してはやてや守護騎士、闇の書にまつわる悲しい出来事を解決する。

そして3,4作目は、なのはが自身の力を信じて、フェイトやはやての力を借りながらも、目の前の困っている人たちを全力で助ける、という内容です。

友情努力勝利。どっかで聞いたことのあるフレーズですね……?

 

つまり「劇場版 魔法少女リリカルなのは」は、主人公・高町なのはの成長が描かれた4部作なんです。

幼いなのはが魔法と出会い、嬉しいことや悲しいことがありながらも人間的に成長していく。その中に数々のドラマがあり、なのはが1人で乗り越えられない壁も、ライバルや助けてくれた人たちと協力しながら乗り越えていく。

そして4作目Detonationでは最後の壁…自身の心の弱さを自分の力で乗り越えていく、という涙なしには見られないアニメなんです。

 

劇場版 魔法少女リリカルなのはDetonationを、どうぞよろしく。