生ハム原木を買った。
始まりはこの一言でした。
生ハム原木会したくない?
— 池武当 (@ikentoh) 2017年8月4日
人類は皆、生ハムの庇護下にあります。
神が愚かな我々を統率するために生ハムを授けたことは聖書にも日本書紀にも古事記にも書いてあります。嘘です。
我々は何故生ハムに向かうのか?それは簡単なことです。そこに生ハムがあるから。
見るもの全てを魅了する魔性の食べ物。それが生ハムです。
というわけで、生ハム原木を買いました。
下記リンク中段の税込み13000円くらいのやつ。
量が量なので、他の友人に声をかけて割り勘で購入しました。
13000円/5人で一人頭2600円くらい。
さて、買う前に気になったことが数点。
・温度管理
→元々真夏40度の地域の保存食なので高温には強いらしい
→夏でも常温放置でOKっぽい
・湿度管理・カビ
→原木表面は定期的にオリーブオイルで拭いておけばOKぽい
→高湿の環境だと手に負えないかも?冷蔵庫にぶちこむのが安全ぽい
→冷蔵庫から出すときの結露がカビの原因になりかねないので注意
→原木内部は素手で触るとカビ・菌の温床になる可能性があるので注意
・虫対策
→塩漬けなので基本的に寄り付かない
・日持ち
→真夏でも結構保つっぽいけどなるはやで食べきりたい
…以上のことを鑑みて、「言うてスペインとかいう日中40度になるような環境で生まれた食べ物なんだし沖縄でもいけるやろ」のノリで購入を決めました。
とどきました pic.twitter.com/BQ6mWxSlpc
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月22日
でかくない?
ドラクエのこんぼうくらいある。
ちなみに購入したショップは恒常在庫があるようで、注文から4日くらいで届きました。
中身がこんなかんじ。
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月22日
・生ハム原木 本体
・生ハム台(ハムネロと呼ぶらしい)
・カット用ナイフ
・「美味しい食べ方」「上手な切り方」みたいな指南書
天国の先祖にも"うさげ"ておきます。(沖縄方言で捧げるの意)
神々しい。
せっかくなので仏壇にも pic.twitter.com/N06GPRoWtx
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月22日
見て分かる通り、真空パックで届きました。
ついでにクール便であったようで、めっちゃ滴ってました。
凍てつくこんぼうかよ。
生ハム原木は発酵した保存食品であるので冷凍する必要は無いと思うのですが…
とりあえず、生ハム原木と外気に温度差がありすぎるので、外気に慣らすために2日放置することにしました。
結露によるカビの発生を防ぐためです。
そして開封。
2日ぶりですね pic.twitter.com/A6W4OW2Nl6
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月24日
ハサミで切れ込みを入れてガバッと…
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月24日
注意として2点。
表面の品質を保つための油が塗布されているそうで、その油がパックを開ける時にサラダチキン的な感じにブゥワーてなりました。養生大事。
また、このとき「チーズ系の発酵臭」が猛烈に香るので、覚悟してください。
品質としては正しい匂いです。
表面はめちゃくちゃ脂ぎってます。
予想以上に油ぎってて驚く キッチンペーパーでひとさらいしてこんなに pic.twitter.com/Rh5ZxdN504
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月24日
なんとなく表面はガサガサしてるイメージだったので意外でした。
油膜によって酸化を防いでいる、というメカニズムですね。
足先の部分は比較的乾いているので、そこをキッチンペーパーをぐるぐる巻きにして、左手で掴みつつ右手で油の拭き取りをしました。
一応念押ししますが、4kgの肉塊です。
大きめの食材というよりは、大の大人が「よっこいしょ…」という具合に扱う重量物です。
余裕で鈍器。
FenderのMustang(あずにゃんのギター)と同じサイズで2倍の重さ…というイメージ。
表面の油はどういう理屈なのか分かりませんが、とりあえず一通り拭き取ったほうがよいみたいです。
多分、酸化した油を捨ててしまうっていうことだと思います。
カピカピになるまでではなく、油の層のうち表面を掬っていくくらい。
一通り拭き取ったら、今度はキッチンペーパーにオリーブオイルを含ませて、さっき掬った油を補填するイメージで塗り込んでいきます。
生ハムのケアが終われば、いよいよ生ハム台にセットします。
とりあえず拭き終わったので台の準備 脂が垂れてきそうなので新聞紙もセット pic.twitter.com/HN0Qlbt3L1
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月24日
したらば完成 食べるときまでは表面に余計なカビが生えないように定期的に水分を拭き取ればOK pic.twitter.com/Avh5mlsG0w
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月24日
太さ5mmくらいのボルトを、生ハム原木のおしりに豪快にぶっ刺す。
足先側のボルトも食い込もうがガンガン回して固定する。
後から分かることなんですが、しっかり固定しないと本番で硬い部分を切るときにグラグラしてナイフの刃が滑るのでかなり危険。
勿体無いっていう感情は捨てて置くまでしっかり刺すこと。
そして何度も言いますが養生大事。
さて、生ハム原木のグロテスクなマーブル模様の解説。
まず白い部分。
これは白カビです。生ハム原木が生ハム原木たる所以です。
原理は知りませんが、とりあえず悪者ではないです。
コイツのお陰できちんと腐らずに生ハムとして熟成するようです。
触るとなんか出来の悪いチーズみたいに半端に糸を引きます。キモい。
特有の発酵臭も、この白カビによる匂いっぽいです。
黒い部分。
これは切り落とされたときの赤身の断面です。
黒いカビではありません。
赤身ではあるのですが酸化してるので、食べるときは切り落とすか避けます。
初回のケアが終わって台にセットし終わったら、最低1日の間、更に外気に慣れさせます。
埃が積もらないように申し訳程度に新聞紙をかぶせておく。
すぐに食べると味が悪いらしい。
今回この「パックから出して外気に慣れさせる」期間は、届いた日と原木会開催日の都合で6日間となりました。
この6日間、毎日1回だけ生ハム原木のケアをしました。
表面の油を拭き取って、その分新たに継ぎ足す。
ここで購入前の疑問点の答え合わせ。
・温度管理
→元々真夏40度の地域の保存食なので高温には強いらしい
→常温で問題なし
→クール便の場合は結露(による青カビの発生)に注意
・湿度管理・カビ
→原木表面は定期的にオリーブオイルで拭いておけばOKぽい
→実際にそれだけで済んだ
→高湿の環境だと手に負えないかも?冷蔵庫にぶちこむのが安全ぽい
→冷蔵庫から出すときの結露がカビの原因になりかねないので注意
→雨が降ったらケアを多めにしたり対処が必要かもしれない
→冷蔵庫は不要
→原木内部は素手で触るとカビ・菌の温床になる可能性があるので注意
→脂ギッシュでそもそも素手で触れないので手のひらの常在菌など意識する必要なし
・虫対策
→塩漬けなので基本的に寄り付かない
→全然寄り付かなかった
・日持ち
→真夏でも結構保つっぽいけどなるはやで食べきりたい
→刃を入れなければ1週間は余裕で保つ
怖いが。
恐怖でしょこんなん pic.twitter.com/uBZjSEcPTB
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月24日
スペイン人心臓に剛毛生えてそう。
ぼちぼちメイドラゴン円盤最終巻が届く。
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月26日
ありがとう…ありがとう14話…
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月26日
あとはマジでなんのイベントも無く、ただ日が過ぎ行きます。
生ハム原木近影 pic.twitter.com/uVw2A9dRP7
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月29日
いよいよ時は満ちた。
闇に深く蠢く飢えたオタク5人が、異形の肉塊を求めて一同に介します。
その姿を見た貴方は1D20の正気度を失います。
生ハム原木を輸送する pic.twitter.com/79o4ic7uSO
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
今回は民宿を借りることにしました。
メンバーのツテでお安く泊めてもらえることに。
沖縄民家あるある;古酒の瓶が置いてある
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
記念撮影。
古酒の隣りにあると「なんかそんなかんじの漆器」に見えてくるからずるい。
いよいよ入刀。
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
噛むと 肉の味がして うまい。
表面の皮はかなり硬いので、付属のナイフでなく包丁でガッとやります。ガッと。
包丁を入れると、いままでの発酵臭とは打って変わって、香ばしい肉の香りが立ち込めます。
間違いなく優勝。
先にV字に切れ込みを入れて、そこを手がかりに掘るように切り進めます。
表面とそこに近い黄ばんだ部分は酸化が進んでいて美味しくないので、遠慮なく捨てていきます。
今回は全員沖縄県民だったので「ほぼスーチカーじゃん」っていう共通認識があったのですが、多分本土には似た部類の食べ物は無いと思います。
(スーチカーとは沖縄の郷土料理で、塩漬けの豚肉です。)
切り進める…
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
肩甲骨と膝が見えます。
骨にぶちあたった pic.twitter.com/J6dJmCtFIn
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
骨の湾曲した部分は、ナイフの"しなり"をうまく利用して削いでいきます。
ひっくり返す。
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
酸化が進んだ脂身はこんなかんじ。(+白カビも見えます。)
マンゴーじゃん(参加した食べられない脂身です) pic.twitter.com/tgq02Ivdty
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
キレイな脂身は料理に使うためにとっておく。
刺身に見えるじゃないですか、これ全部脂身です pic.twitter.com/aTpLKb2CVF
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
中の赤身は奥にいくにつれどんどん脂が出て来ます。
美味しい匂いがすごい。
油の海 pic.twitter.com/4gSh7dUWDx
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
反対側がすぐ骨に当たった分、こちらは何もない様子。
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
これはヤバイ pic.twitter.com/1GcCBqOzcJ
— すなこ (@gawaki) 2017年9月30日
肩甲骨。
プロの技を見た pic.twitter.com/KBnWDAC07O
— すなこ (@gawaki) 2017年9月30日
そして4時間ほど掛けて全て削ぎ落とす…
ハアハア成し遂げた pic.twitter.com/K0X359cobG
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
ハッピーのかたまり pic.twitter.com/ncn4ur5Rl9
— すなこ (@gawaki) 2017年9月30日
今回は全て食べきるつもりだったのでこういう削り方をしましたが、少人数で少しずつ食べるのなら、食べるときに都度切り落とすのがいいと思います。
生ハムはパスタになったりチャーハンになったり、ソーメンチャンプルーになったりしました。
意外と白米とマッチするんですよね。新発見。
食欲に負けて料理の写真は撮り忘れました。
量的には、5人が晩御飯に腹いっぱい食べて、朝ご飯とお土産の分まであるくらい。
4kgを5人っていうのがひとつの単位だと思います。
沖縄の民家あるある;赤と黄色のお箸
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
メイドラゴンを見るオタク。
13話 pic.twitter.com/E8tmm4fHLI
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日
あとは全員酔いが回ってゲラゲラ笑いながら寝ました。
生ハム原木会、楽しかったです。
アトラクション性がある。
買い出しの分とか宿代とかもろもろ含めるとひとり8000円くらいでしたが、その分の価値はあったと思います。
みんな生ハム原木買ってゲラゲラ笑ってくれ。
今回のまとめ。
生ハム原木を食べると豚の骨格に詳しくなれる
— 池武当 (@ikentoh) 2017年9月30日